
WordPressから静的サイトに移すと何が変わるか|URL・検索順位・フォーム・デザイン・更新の実際
「WordPressをやめて、静的サイトにしましょう」と言われたとき、いちばん知りたいのは「で、何が変わるの?」だと思います。良いことだけ並べた説明は、あとで裏切られます。この記事は、実際に移してきた側から、変わらないもの・変わるもの・つまずいたところを、順番にお話しします。
結論から。
変わらないようにできるものは、各ページの住所(URL)、タイトルと説明文、文章と写真、アクセスを数える仕組みです。変わるものは、直し方(管理画面がなくなる)、お問い合わせフォームの中身(作り直す)、追加の部品で動いていた機能(残らないものがある)、ページを開く速さ(速くなる)。Googleで検索したときの順番は、住所と自動の案内を守れば大きく崩れませんが、移した直後に少し揺れることはあります。「絶対」とは言えません。
「静的サイト」とは何か。たとえ話と、実際の仕組みで
WordPressは、誰かがページを開くたびに、裏側でプログラムが動いて、「この記事の本文は?」と倉庫(データベース)に聞きに行き、その場でページを組み立てて見せています。管理画面があるのは、その組み立ての材料を書き換えるためです。
静的サイトは、その組み立てを「公開する前」に一度だけやってしまいます。全ページをあらかじめ作っておいて、見に来た人にはそのまま見せる。印刷したチラシを配るのに近いイメージです。配るだけなので、本番の場所にはプログラムも倉庫も管理画面もありません。
私たちの場合、ページを組み立てる道具にはAstroというものを使い、配るのはVercelやCloudflareといった配信サービスです。名前は覚えなくて大丈夫です。「本番には、配るものしかない」ということだけ、頭の片隅に置いてください。入られる入口がなく、更新しないと壊れる部品もない、というのはそういう意味です。
変わらないようにするもの
住所(URL)
いちばん大事なところです。Googleでの順番が移すときに崩れる原因は、ほとんどが住所の変更と、古い住所からの案内の漏れです。
記事とページの一覧をWordPressから取り出して、同じ住所でページを作ります。ここで決めないといけないのが、WordPressが勝手に作っていた住所の扱いです。カテゴリの一覧、タグの一覧、月ごとの一覧、書いた人のページ、画像だけのページ。これらは全部で何百もあることがあって、検索から人が来ているものと、まったく来ていないものが混ざっています。来ているものは残し、来ていないものは関係の近いページへ自動で案内する(301リダイレクトと呼ばれます)か、なくします。なくす場合も「見つかりません」のままにはせず、案内先を決めます。
細かい話ですが、住所の最後の「/」(スラッシュ)を付けるか付けないかも、この段階でどちらかに決めます。これを放っておくと、同じページが2つあるように扱われてしまいます。
タイトル・説明文・見出し
各ページのタイトルと説明文(検索結果に出る2行)は、今のものをそのまま拾って移します。本文の見出しの並びも変えません。ここを「せっかくだから直そう」としてしまうと、移した影響と書き換えた影響が混ざって、順番が動いたときに何が原因か分からなくなるからです。直すのは、移したあとが落ち着いてから。
写真
WordPressの写真は、年月ごとの箱に入っています。これを取り出して並べ直します。ファイルの名前はそのままに、容量が大きいものは軽くします。写真の説明文(代替テキスト)が入っていたものは、そのまま移します。
アクセスを数える仕組み
Googleアナリティクス、広告の成果を数える印、Search Console(Googleから見た健康診断のようなもの)の所有者の確認。これらは「移したあとに、数字が見えなくなった」と気づきやすい場所です。移す前に何が入っているかを一覧にして、新しいホームページに同じものを入れ、公開した直後に数えられていることを確認します。
変わるもの
直し方
管理画面がなくなるので、ログインしてご自身で書き換えることはできなくなります。文章や写真をLINEやメールで送っていただいて、こちらで反映する形になります。反映までの時間は内容によりますが、文言の差し替えくらいなら当日から数日です。
これは、はっきり言って、不便になる点です。ご自身で頻繁に更新したい方には、静的サイトは向きません。私はそういう方に、静的サイトをお勧めしません。
お問い合わせフォーム
いちばん丁寧にやる場所です。WordPressのフォーム用の部品(Contact Form 7やMW WP Formなど)は、静的サイトでは動きません。送られた内容を受け取る仕組みを、別に用意します。
私たちが実際にやっているのは、「入力→確認→送信完了」の3つの画面の流れを元のホームページと同じように作り直し、届く先のメールアドレスを設定し、送信が終わった瞬間に「お問い合わせが1件あった」と数える印を付けて、件数が引き続き分かるようにすることです。
ここで一つ、落とし穴があります。送信メールの差出人の住所に、ある設定(SPF・DKIMと呼ばれる、「このメールは本物です」という証明)をしていないと、メールが届かなかったり、迷惑メールに入ったりします。「フォームは動いているのに、お問い合わせが来ない」の原因が、これだったことがあります。公開する前に実際に送ってみて、受信箱に届くところまで確認します。
追加の部品で動いていた機能
WordPressの追加の部品(プラグイン)は、静的サイトには持っていけません。機能ごとに、3つに分けて考えます。
- 同じように作り直せるもの:目次、関連する記事、よくある質問の折りたたみ、パンくず、サイトマップ、SNSの共有ボタン。これらは問題なく作れます。
- 外のサービスに出すもの:予約、ネットショップ、会員制。ホームページ本体は静的にして、予約だけ外の予約サービスへ、という形にします。できないわけではありませんが、月々の費用と使い勝手が変わるので、最初にご相談します。
- なくすもの:人気記事のランキング、サイト内検索、コメント欄など。使われていないことが多いので、確認したうえで外します。
ページを開く速さ
速くなります。開くたびに倉庫に聞きに行っていたものが、できあがったページを渡すだけになるからです。ただ、「何秒が何秒になります」とは、移す前にお約束しません。写真の量やデザインで変わるので、公開したあとに測ってお見せします。速さの見方そのものはホームページ表示速度改善の記事に書いています。
Googleでの順番への影響と、公開したあとに見るもの
順番は、お約束できません。それを前提に、揺れる原因と、揺れたときに見る場所をお話しします。
揺れる原因は、住所が変わった、古い住所からの案内が漏れた、確認用に付けていた「検索に載せない」印を消し忘れた、ページ同士のリンクが切れた、Googleがホームページ全体を読み直している最中である、のどれかです。最後の一つは、時間が解決します。それ以外は、人の手で直せます。
公開したあとの1〜4週間で見るのは、Search Consoleの「ページ」という画面です。「見つかりませんでした(404)」が増えていないか、「別の場所に案内」が思ったとおりになっているか。それと、移す前に人が来ていた主な検索の言葉の順番。サイトマップ(ページの一覧表)を送り直すのも忘れずに。
私がこれまで移した中では、住所をそろえて、案内を漏らさなかった場合に、人の来る数が大きく崩れたことはありません。ただ、「なかった」は「ない」と同じではないので、保証という言葉は使いません。
つまずきやすいところ。実際にあったこと
失敗の記録のほうが役に立つと思うので、正直に書いておきます。
- 「検索に載せない」印の消し忘れ。確認用のページに付けていた印をそのまま公開してしまい、数日間、検索から消えかけたことがあります。公開直前の確認項目に入れています。
- フォームの差出人の証明が未設定。テスト中は届いていたのに、本番の住所で証明の設定がされていなかった。上に書いたとおりです。
- 住所の切り替えと、古いサーバーをやめる順番。切り替えてすぐ古いサーバーを止めると、切り替えが行き渡る前に来た人にエラーが出ます。しばらく両方を動かしておきます。
- 写真のファイル名の大文字・小文字。古いサーバーでは区別されていなかったものが、新しい場所では区別されて、写真が出なくなった。まとめて確認するようにしています。
- 月ごと・タグの一覧ページの大量の「見つかりません」。最初に「どの住所が存在していたか」を全部洗い出さないと、ここで漏れます。
- 数える仕組みの二重。古いホームページの印をそのまま移したうえに、新しい印も入れてしまい、お問い合わせが2回ずつ数えられていた。移したあとの数字が急に増えたら、まずこれを疑います。
向く方、向かない方
向くのは、直すのが年に数回で誰かに頼めれば十分な方、固定のページが中心の方、誰が管理者か分からなくなっている方です。向かないのは、ご自身で頻繁に記事を書く方、予約やネットショップをWordPressの中で動かしている方、複数の人が投稿している方です。
向く方のための費用と決まりごとは、WordPressからの移転プランにまとめています。移行の作業費は12ヶ月のお付き合いで0円、月額¥9,800〜(税別)です。上限と途中でやめるときの決まりも、そのページに全部書いています。徳島で保守を探している方向けの分かれ目は、徳島でWordPressの保守を探している方へに書きました。
よくいただく質問
Q. 静的サイトにすると、ブログは書けなくなりますか?
書けます。ただ、管理画面にログインして書くのではなく、文章と写真を送っていただいて、こちらで載せる形になります。ご自身で頻繁に書きたい方には、静的サイトは向きません。そこは正直にお伝えします。
Q. WordPressの記事の住所(URL)は、そのまま残せますか?
残せます。記事の一覧を取り出して、同じ住所でページを作ります。カテゴリやタグ、月ごとの一覧ページのようにWordPressが勝手に作っていた住所は、残すか、別の場所に案内するかを最初に決めます。
Q. お問い合わせフォームは、今と同じように使えますか?
見た目と項目は同じように作れますが、中の仕組みは作り直します。WordPressのフォーム用の部品は静的サイトでは動かないため、送信を受け取る仕組みを別に用意して、送った内容が実際にメールで届くところまで確認してから公開します。
Q. 静的サイトに移せば、もう何も気にしなくていいですか?
WordPressの本体や部品の更新という作業は、なくなります。ただし、ドメイン(住所)や配信サービスの契約、フォームの送信の仕組みの管理は残ります。「何もしなくていい」ではなく、「毎月の更新作業がなくなる」と思っていただくのが正確です。その残った部分は、私たちが見守ります。
今のホームページの住所(URL)を送っていただければ、「何が変わるか」を具体的にお返しします
ページの数、記事の数、どの追加の部品が使われているか、フォームの仕組みは、表に出ているページからおおよそ分かります。「あなたのホームページの場合、何が残って何が変わるか」を紙に書いてお返しします。そこまでは無料です。sistailは徳島市を拠点に、オンラインで全国に対応しています。
この記事について
- 著者:代表 宇都宮芳希(合同会社システイル/sistail)
- 一次情報の出典:
- 静的サイトの構成、URL・画像・計測タグの移し方、フォームの3ステップ再構築と送信イベントによる計測、メール認証の落とし穴、つまずいた点6つ=代表自身が実施した20サイト以上のWordPress→静的サイト移行作業に基づく(2026-10-23 記述、2026-10-24 文体改訂)。守秘のため社名・業種・数値は書いていません。
- 「URLを維持した場合に流入が大きく崩れた経験はない」=上記移行案件の公開後確認に基づく代表の経験であり、将来の保証ではありません。
- 外部の統計・調査は引用していません。
自分のお店でも考えてみたい方へ
HPの見直しを、お客さんの動きに合わせて。
ページの改善点が見えたら、どこから来た人が何を知り、どう連絡するかも確認します。HP・Googleマップ・SNSの役割を、ひとつの流れで考えられます。
まず、手元で整理できること
HPを初めて見たつもりで、料金の目安から問い合わせ先までたどってみる。
トップページで全体像と無料ガイドをご案内しています。まだ依頼の予定がなくても読めます。
全体像を知っている方は、実践シートへ